CPPってなによ

その分野では常識でもちょっと別の分野の人が聞いても何のことやらわからない略語というのはよくあります。有機化学でいうと保護基の略称とかがそうなのかもしれません。

ベンゼン環がパラ位で環状につながった化合物CPP(Cycloparaphenylene)もその一つかもしれません。この化合物の構造式を書こうとするとすぐにパイ平面をすべて同一平面上に置けないことに気づきます。そうなると芳香属性はどうなるのか!?CCPを構成するベンゼン環の数で物性は変化するのか!?

気になりますねぇ。気になったら作って調べるのが一番です。そんなわけで何に役立つかわからないけれどこの分子を作っているグループが世界にいくつかあるらしいのです。

伊丹健一郎のグループもその一つでこの論文はすでに達成されている[12]CPPの合成の改良です。

Concise Synthesis and Crystal Structure of 12 Cycloparaphenylene
Y. Segawa, S. Miyamoto, H. Omachi, S. Matsuura, P. Senel, T. Sasamori, N. Tokitoh, K. Itami, Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 3244

MOM保護したジフェニルシクロヘキサンが12個の芳香環のうちの4分の1、3つの芳香環ユニットに相当します。ニッケル触媒下このモノマーを4量体化させ一気に環化させたのちシクロヘキサンを芳香環化させ[12]CPPを合成しています。

0.5g取れるたそうです、多いのか少ないのかわかりませんがこれだけの量あれば化合物データの収集に苦労することはあり得ません。(そういえばプロトンが1種類しかないのでNMRがえらいシンプルです)

だからなんだって言われればそれまでですね。好きじゃなければやってられないですね、研究なんて概してそんなもんです。